【実話】29歳・人生終了寸前だった平凡プログラマーが累計5.8億円を稼ぐまでの奇跡の物語

シド

序章:想像もしなかった感謝の瞬間

「シドさん、本当にありがとうございました」とクライアントが言っていた。

「あなたのおかげで僕の人生が完全に変わりました」と。

PC画面の向こうでは歓喜の表情。年収300万円で消耗していた男がたった一年で年収1300万円を突破したのだという。

「今はもう安い単価でしんどい思いをすることもない。クライアントの方から『お願いします』って言ってもらえるようになったんです」

彼の表情は、以前の不安に満ちた顔とはもうすっかり別人だった。

「今年は5000万以上の売上になりそうです。本当に、シドさんに出会えて人生が変わりました」

その瞬間、僕の胸に熱いものがこみ上げてきていた。今までやってきたことは無意味ではなかったのかもしれない。そう思うことにした。

本当は人生は変わってはいない。
その人が、人生を変えると思える程の気づきを得て、それをちゃんと実行したから、十分な成果を手にしただけ。

その後押しぐらいは出来ている自信は持てるようになった。


現在の僕は週20時間程度の労働で月収500万円以上を稼いでいる。

好きな時に好きな場所で働く。家族と過ごす時間は何倍にも増えた。
2つ目の会社も順調に成長し、5億8000万円という売上をすでに築き上げていた。


でも、何より嬉しいのは、心の底から感謝された時のような気がする。
こんな風に感謝されるのは、得意ではない。
むずがゆさが生まれて、話を早く切り替えたくなる。やめ。

その人の人生が自分の望む方向へ進むようになった時、僕がやったことに価値があったのかなと思える。
きっとそうに違いない。

今の僕を見て、多くの人は言う。

「きっと昔から優秀だったんでしょうね」「特別な才能があったんですね」「恵まれた環境で育ったんでしょう」

それは全く違う。

僕は、つい数年前まで、人生の底の底にいた。
平凡で、コンプレックスだらけで、何をやってもどうせ中途半端。
家族は崩壊し、会社は倒産寸前。嫁は毎晩泣いている。
そして僕は、すべてを人のせいにして生きていた。本当にどうしようもないやつだった。


でも、たった一つのことに気づいただけで、人生は劇的に変わったのである。


第1章:崩壊の始まり – 小学生時代の地獄

家族の500万円が消えた日。

それは小学生の僕にとって、世界が終わった日だった。今でもその日のことは覚えている。
父の弟である叔父が、意を決して、息も荒く涙も流しながら我が家にやってきていた。

「お兄ちゃん、頼む。500万円貸してくれ。これがないと俺の家族が路頭に迷う」

優しい父は、家族の将来を担保にその金を貸した。
もちろん返ってくると信じて。
でも、叔父はその金を返すことができなかった。

多分最初からお金を返すことはできなったのかもしれない。


その日から、我が家の地獄はすでに始まっていたのである。

母は毎日イライラを撒き散らし、父は必死に働くも仕事はどんどん減っていく。
家の中は常に険悪な空気。
僕はただ、小さく縮こまっているしかない。
どうすることもできなかった。


路頭に迷ったのはこちらであった。


現実が辛すぎて、僕の唯一の逃げ場所はゲームの世界だった。
特にファイナルファンタジーに登場する「シド」というキャラクターに憧れていた。
飛空艇を作り、世界を変える重要な技術者。どの作品にも登場し、常に空を飛ばす役目を担っている。

僕もいつか、シドみたいに世界を変える技術を作りたい。

幼い心にそんな夢を抱いていた。本気で信じていた。
でも、現実は夢とはもう結構正反対だった。

小学四年生のある日、僕の小さな世界は完全に崩壊した。
幼馴染を含めたグループから、集団でボコボコにされたのである。
理由はよくわからない。
ただ、僕が弱そうに見えたからかもしれない。きっとそうに違いない。

なんで僕ばっかり。

家では親のいざこざ、学校ではいじめ。
逃げ場所はどこにもなかった。本当にどこにも。

小学六年生になると、お下がりの携帯をもらった。
初めて手にした自分だけのデバイス。でも、使い込みすぎて母親にブチギレられる始末。

「お前のせいで家計が苦しいのに、まだ金を使うのか!」

さらに追い打ちをかけるように、高学年になるにつれて体が毛深くなり、深刻なコンプレックスを抱えるようになっていた。
水泳の授業、体育の着替え。女子の視線が気になって仕方がない。


きもーーーーーーーーーい


その言葉が、僕の心に深い傷を刻んだ。今でも覚えている、あの声を。


第2章:挫折の連続 – 中学・高校時代

中学に入ると、当時流行っていた「テニスの王子様」に憧れて、テニス部に入部した。
今度こそ、何かで結果を出してやる。そう思っていた。本気で思っていた。


でも、現実は甘くなかった。


僕の成績は常に下の方。
先輩からは毎日のようにブチギレられていた。
お前のせいでチーム全体の足を引っぱってるんだ! そんなんじゃレギュラーになれるわけないだろ!

罰として、追加の掃除と練習が毎日のように課せられていた。

結局、僕はテニス部を辞めることになった。
また逃げた。また心が折れた。


その後はゲーム三昧の日々。
現実逃避の毎日だった。もうどうでもよくなっていた。


高校に入ると、奨学金での進学。
家計は火の車状態が続いている。
何か特別なことで稼げるようになりたい。

そう思って小説を書き始めた。
いつかは有名になれるかもしれない。そんな風に考えていた。

でも、書店でプロの小説を読むたび、絶望的な気持ちになる。
僕とプロとの差は、埋められないほど大きい。

結局、小説を書くのもどこかで諦めていた。
数学研究部という、RPGツクールでゲームを作る部活に入ったが、もちろんモテるはずもなく。これもやめ。



僕の青春は、挫折と孤独の連続だった。
本当にどうしようもなかった。


第3章:大学時代 – 家族の完全崩壊

大学に入った頃、我が家の状況はさらに悪化していた。
母親は僕の奨学金を生活費として取り上げる。

「あんたも家族の一員でしょ。当然よ」

パートでホテルの給仕などをして稼いだお金では足りず、僕の奨学金にまで手を出したのである。
そして、イライラを家にぶつける毎日が続く。


父親は仕事が激減し、少量の貴金属修理で食いつなぐ状態。
バブル期の勢いは完全に失われ、家族全員がもう死んだような状態になっていた。


僕は奨学金を取られた分、バイトで自分の生活費を稼がなければならず、勉強どころではない。
そんな状況にブチギレながらも、どうすることもできない自分の無力さを痛感する。


何もかもがうまくいかない。どこにも居場所がない。


第4章:社会人初期 – 夢の完全崩壊

大学卒業後、僕は芝居の世界に飛び込んだ。


散々これまでうまくいかなかったくせに、またしても僕は勘違いしていた。

舞台に立てば何かが変わるかもしれない。
こんな自分のようなダメなやつこそ、実はステージでは輝くというのがある。
演技の才能があるかもしれない。ちょっとは自信もあった。

だから今度だけは違うかもしれない。
なぜかそんな風に思い込んでいた。根拠なんてどこにもないのに。


でも、コミュ障の僕に芝居の世界は過酷すぎた。(そらそうだ)


演出家からは容赦ない言葉を浴びせられた。

「お前、感情表現ができてない。向いてない」

その瞬間、僕の心は完全にボロボロと音を立てて崩れて折れた。
またしても、僕は逃げ出すことになったのである。



もう何もかもが嫌になっていた。

芝居を諦めた後、僕はすべての失敗の原因を親のせいにして恨むようになった。
親が僕の人生を狂わせた。


詐欺師の叔父に返るはずのない500万円を貸したせいで、家族が崩壊した。
あの時、親がグズでなく、バカでなく、しっかりしていれば僕の人生は変わっていた。


他人のせいにするのは楽だった。

でも、それで何かが変わるわけではない。変わるはずがない。


僕は部屋に引きこもり、毎日ゲームをしていた。
食事の時以外は誰とも話さない。
外に出るのも最小限。コンビニに行くのさえ億劫になる。
鏡を見るたび、自分の顔が嫌いになる。こんな顔じゃ誰も振り向かない。
こんな性格じゃ誰も近づかない。こんな人生じゃ何も始まらない。


なんで僕だけがこんな目に。なんで僕だけが。


朝起きると、まず絶望する。今日も何もない一日が始まる。
昨日と同じで、明日も同じ。希望なんてどこにもない。
夢なんてとっくに諦めた。
将来なんて考えたくもない。

友達は就職して、結婚して、子供ができて、みんな前に進んでいるのに、僕だけが取り残されている。
みんなが大人になっているのに、僕だけが子供のまま。
みんなが何かを掴んでいるのに、僕の手には何もない。


空っぽだった。本当に空っぽ。


親を恨んで、社会を恨んで、自分を恨んで。。。
でも一番恨んでいるのは、きっと自分自身なのかもしれない。
変われない自分。動けない自分。何もできない自分。


そんな風に思いながら、また今日も終わっていく。そして明日も、きっと同じ絶望が待っている。

・・・でも、人間というのは不思議なもので、どん底にいても、また新しい夢に縋ろうとする。


第5章:IT業界への転身 – しかし現実は甘くなかった

芝居を諦めた僕は、プログラマーとしてIT会社に就職した。
こんな僕でも、パソコンとは大の仲良し。これが決め手だった。

そしてまたしても僕は懲りずに夢を見ていた。

今度こそ、技術で世界を変えてやる。
幼い頃に憧れたFFのシドのように、重要な技術を作り上げたい。
そんな思いを胸に、必死にコードを書いた。


繰り返すが、現実は厳しいものだった。


プログラマーとしての成績は平凡。
深いサーバープログラムの知識を身につけたかったのだが、理解できない。


僕って、結局何をやってもダメなんだな。

そんなことを思いながらも、実は結婚して子どもも生まれて、それなりに平凡な生活を送っていた。
まあこんなものかもしれない。そう思っていた。
しかし、平穏な日々は長く続かなかった。会社が傾き始めたのである。

「悪いけど、営業に出てほしい」

プログラマーだった僕も、営業をしなければならなくなった。
飛び込み営業、テレアポ、毎日がボコボコにされる日々の連続。


「お前の会社なんて知らない」「時間の無駄だ」「二度と来るな」「きもいやつ」


ビジネスだからそんなことを面と向かって言わないが、態度が物語っていた。
プログラマーが突然営業に出てどうなるかなんて、火を見るよりも明らかで、大炎上。


学生時代のコンプレックスがせり上がってきた。
心が折れそうになる度、家に帰ると嫁が泣いていた。

「会社が潰れるってどういうこと?これからどうするの?このままじゃ子どもを育てられない」

僕の成果は一向に上がらず、会社もどんどん傾いていく。


何をやってもうまくいかない。どこに向かっても扉は閉ざされている。
三十歳を目前に控え、僕は人生最大の危機にすでに直面していた。


またしても、すべてが崩れ去ろうとしている。


第6章:運命の夜 – 人生最大の決断

ある夜、僕は布団の中で天井を見つめていた。

電車の音が遠く響いて、隣を流れる川が容赦なく音を立てているのが聞こえる。
手に汗をかき、心臓が早鐘を打っている。

このまま僕は、親と同じような『うだつの上がらない人生』を歩むのだろうか?
毎晩、そんなことを考えながら眠れない夜を過ごしていた。

これまでの微妙な人生を進み続けるのだろうか?
少しはよくなるかもしれないが、それはいつなのか?
答えは分からない。分かるわけがない。


でも僕は、その夜、人生で初めて、重要なことに気づいていた。


これまでの人生、僕は常に誰かの指示で生きてきた。
そして、うまくいかないことはすべて誰かのせいにしてきた。

小学生の時は親のせい。
中学・高校では環境のせい。
会社では上司のせい。
誰かのマリオネットとして生きてきた結果が、今の惨状だったのだ。


ずっとそうだった。ずっと誰かの後ろを歩いていた。ずっと誰かの言葉を待っていた。

でも誰も何も言ってくれない。誰も答えをくれない。
誰も僕を救ってくれない。
当たり前だった。

そんなこと、本当は最初からわかっていたはずなのに。




夜中の二時を回っても眠れない。


嫁の寝息が聞こえる。子どもの小さな寝息も聞こえる。
みんな将来に期待して、安らかに眠っているのに、僕だけが起きている。
家族で僕だけが悩んでいる。世界中で僕だけが将来を恐れている。


このままじゃダメだ。このままじゃ本当にダメだ。

でも何をすればいいのかわからない。どこに向かえばいいのかわからない。
何が正解なのかもわからない。言いようのない冷や汗が流れて、家族への謝罪も生まれない。


こんな僕がいるのは、やっぱりどこまでいっても親のせいだった。



言いたくはなかったけれど、本当はこの時死にたかったはずだった。
そこから目を背けるようにスマホを触って、頭に入らないネットサーフィンを延々としていた。

そこで今の人生を変えるためのビジネス講座に目が止まった。

めちゃくちゃ怪しい講座だった。本当に成功するのかなんてわからない。
全く知らない人が知らない実績を垂れ流していたが、もはやどうでも良かった。

成功者の言っている事はいつだってわかる。そこまで馬鹿ではない。
そうやって期待して、夢見て、実行して、いつだって挫折してきた。
そんなことはわかっている。今までの自分のことはわかっている。


嘘。


・・・嘘をついている。嘘です。
実行したことなんてなかった。いつだって誰かのせいにしていた。
これも言いたくなかった。
もしかしたら、死のうと考えていることより、知りたくなかったことだったと思う。

誰かが、自分を夢まで連れて行ってくれることを待っていたのだ。


手に汗をかき、心臓が激しく鼓動している。
喉はカラカラ。頭の中は真っ白。


嘘がバレたから。
そうやって嘘をつき続けて犠牲者になっていればこれまでと同じ人生ぐらいは生きられたのに。


このまま何もしなければ、確実に何も変わらない。それだけは確実に言えることだった。
もう間違いなく。
今まで何十年もそうやって生きてきたのだから、これからも同じに決まっている。


申し込みページを開く。画面が眩しい。文字がぼやけて見える。
なんでこの講座なのか?理由なんてなかった。そこにあったから。
怪しいかもしれない。騙されるかもしれない。
お金を無駄にするかもしれない。嫁に怒られるかもしれない。また失敗するかもしれない。


父親はそうやって500万騙し取られて、家族は地獄に落ちた。
本当に悔しい。


でも・・・何もしないで後悔するよりは、何かをして後悔する方がまだマシかもしれない。

でも・・・そうやって、テニスだって、小説家だって、芝居だって、プログラマーだって全て後悔してきた。

そんなことを考えながら、僕は画面をスクロールしていた。
料金を見る。高い。本当に高い。
でも今の状況を変えられるなら、安いのかもしれない。

いや、高いに決まっている。こんな大金、どこにもない。どうやって説明する。
でも、やるしかない。他に道がない。
(父親も500万払うしか道がなかったのか?)


指が申し込みボタンの上で震えている。

押すだけ。

たったそれだけのことなのに、手が動かない。
心臓の音がうるさい。血管が脈打つ音まで聞こえる。
絶対気づかれるわけにはいかないが、泣いている。

このボタンを押したら、きっと人生が変わる。
良い方向に変わるかどうかはわからないけれど、今とは違う何かになる。
今の延長線上ではない、何か別の人生が始まる。


・・・・・・そうじゃない。

ここまで来て、もう嘘はやめるしかない。
このボタンを押しただけじゃ変わらない。
何も変わらない。選んだだけでは何も。


そしてまた人のせいにする。


そうじゃない。

全部自分のせいだった。

人のせいにし続けて、目の前の現実から逃げ続けた。
500万もコンプレックスも関係なかった。
ただそれを理由にして逃げればいつでも心地よかった。

そんな自分で良かったのか? それだけは良くなかった。
それだけは絶対に良くなかった。

僕は気づいてしまった。
500万が消えて、この世界を終わらせたのは、誰でもない僕自身だった。


そんな自分は

笑えてきた


きもーーーーーーーーーい


そして、僕はそのボタンを押していた。
人生で初めて、自分のせいにした。


第7章:狂気じみた勉強の日々 – 購買心理7段階の完全習得

僕は自分で選んだことを噛み締めた。
これだけは絶対自分で決めたことで、何が起きても自分のせいにする。

それだけは譲れなかった。

誰かが「俺のせいにしろ」と言っても譲れない。

言い訳を考える余地もなく、すぐさま講座は始まった。
講座で学んだ内容は、僕の世界観を完全に変えるものだった。

まず衝撃を受けたことを抜粋すると、購買心理の七段階。
注意から興味、連想、欲望、比較、確信、そして決断。
人間が商品・サービスを購入するまでに必ず通る、七つの心理的プロセス。
各段階で適切なアプローチをすれば、成約率は劇的に向上する。


なぜ今まで誰も、こんな重要なことを教えてくれなかったんだ?
もちろん知らないことは山程あるだろう。それを知ろうとしなかった自分が同時にいただけだ。


そこから僕の狂気じみた勉強が実は始まっていた。

講座を受講してから、僕は文字通り死ぬほど勉強した。
睡眠時間は毎日3時間。土日も関係なく、朝5時から深夜2時まで勉強。
会社から帰った後も、マクドナルドで4時間の勉強。


第1段階の「注意」の完全攻略。
存在に気づかせるための戦略を50パターン以上創作した。
キラーワードによる強烈な印象作り、違和感・意外性による記憶への刻み込み、数字による信憑性の演出。


第2段階の「興味」の完全攻略。
関心を引きつけるための心理トリガーを徹底的に研究した。
悩み・痛みポイントへの質問攻めパターン30種類、権威性と親近感のバランス調整テクニック、もっと知りたいと思わせる情報の小出し術。

第3段階、第4段階、第5段階、第6段階、第7段階・・・。

すべて同じように、血肉になるまで叩き込んだ。
心理学とかの本を百冊以上読み、人間の欲望メカニズムを理解した。
業界研究も徹底的に行い、どんな競合にも対応できる準備を整えた。


もっと色々とやったが忘れた。
理論を学んだだけでは意味がない。
僕は学んだことを実践するため、会社の営業活動で徹底的に試した。

毎日10件のテレアポ。毎週飛び込み営業を30件。
夜は学んだ理論の復習と改善点の洗い出し。いわゆるPDCA。


最初は全く成果が出なかった。


もう本当に嫌になった。また同じことになる。
結局お金を払っても意味がない。あの時の500万と親が全ての元凶・・・

と思うことはやめた。


3ヶ月目から徐々に変化が現れ始めた。
テレアポのアポ取得率が2倍に。商談での成約率が3倍に。
クライアントからの反応がもう明らかに変わっていた。


そして6ヶ月後には、僕は会社で営業成績トップになったのである。
社長より成約をとってやった。

なおプログラマー業務も激務の中で行っていた。
自己責任だと気づいた日から、何故か成果が出るようになった。


営業スキルを身につけた僕は、人生で二度目の重要な決断を下した。
嫁を説得して、フリーランスとして独立することを決意したのである。
今度こそ、自分の人生を自分で決める。


嫁は不安そうだった。本当に大丈夫?また失敗したらどうするの?

でも僕は、初めて確信を持って答えることができた。
今度は違う。僕は変わった。


その時の僕は、本当にそう思っていた。


第8章:奇跡の始まり – 初年度1000万円の衝撃

独立してからの僕は、別人だった。
学んだ知識を実践し、必死に営業活動を行った。
もちろん0からスタートだったので、つまずきまくった。


そして、初年度で1000万円の売上を達成していた。


嫁も、僕自身も信じられなかった。

「本当に?嘘じゃないの? 」

通帳を見せると「あなた、本当に変わったのね」

その言葉が、僕の心に深く響いた。本当に変わったのかもしれない。

でも自分のどこかで答えは出ていた。いや変わってはいない。
気付いたことがあるだけで、いつものボコボコにされている僕は常にいる。
ボコボコにされたって、それは自分のせいなだけ。


そう思った瞬間、何かが吹っ切れた。


翌年、僕は法人化を決断した。
一期目は2000万円以上。二期目は5000万円以上。
そして、いつだか5.8億円の売上を築き上げていた。

子供の頃に憧れたFFのシドのように、重要な技術を作り上げることができた。
世界を変える技術ではないかもしれないけれど、少なくとも僕の世界は完全に変わった。


そして今でも、あの夜のことを覚えている。
布団の中で震えながらボタンを押したあの夜のことを。
あの時、人生で初めて自分のせいにしたあの瞬間のことを。


第9章:成功後の人生 – 手に入れた理想の世界

平凡なプログラマーだった僕が、わずか数年で手に入れたもの。


朝起きると、まず子どもたちの笑い声が聞こえる。
今日はどこに行こうか、何をしようか、そんなことを家族で話している声。
昔なら考えられなかった。
朝から家族旅行の計画を立てる余裕なんて、あの頃の僕にはなかった。

通帳を見るたび、数字が信じられない。
もう会社が傾く心配をする必要はない。
複数の収入源があって、一つがダメになっても他でカバーできる。
そんな安心感をすでに手に入れていた。


一番驚いたのは、親のことだった。
あれほど憎んでいた親に、今は喜んで生活費を渡している。
親も僕の成功を見て喜んでくれた。
あの時の500万円のことなんて、もうどうでもよくなっていた。きっと親も同じ気持ちなのだろう。


仕事をしている時間が、遊んでいる感覚になった。
好きな時に好きな場所で働ける。カフェでも、家でも、旅行先でも。
労働という感覚がもうなくなっていた。


知識も、力も、自信も、すべてを手に入れた。
でも一番大きかったのは、心の平穏かもしれない。
もう何かに追われている感覚がない。もう誰かを恨む必要もない。


現在、僕は二つ目の会社を立ち上げている。
こちらも順調に成長しており、より少ない労力でより大きな利益を生み出す仕組みを構築中である。
技術者として、経営者として、僕は幼い頃に憧れたFFのシドのような存在になることができた。


本当にそうなれたのかはわからない。
でも少なくとも、あの頃の僕が夢見ていた何かにはなれたのかもしれない。


実は7期目で、最初の会社は投資家との仲違いにより僕の手元を離れた。
でも、それも含めて僕の人生の糧となっている。

その時、また昔の僕が顔を出した。
誰かのせいにしたくなった。
投資家が悪い、環境が悪い、タイミングが悪い。
でも、気がついたらもう笑っていた。


ああ、僕はやっぱり変わってないな。

ボコボコにされる僕は、今でもここにいる。
でも今は知っている。それも全部自分のせいだということを。
そして、それでいいのだということを。


失敗も成功も、すべては自分の選択の結果。
もう誰のせいにはしない。
すべて自分で決めて、自分で責任を取る。
そうやって生きていくと決めた瞬間から、僕の人生は劇的に変わったのである。


あの夜、布団の中で震えていた僕は、きっと想像もしていなかっただろう。
自分がこんな人生を手に入れることを。自分がこんな風に変われることを。


でも今なら言える。人は変われる。
いや、変わる必要なんてない。ただ気づけばいい。
すべてを自分のせいにすること。それだけだった。

ボコボコにされても、それが自分のせいだと思えれば、人生は必ず好転する。
そんなことを、今でもボコボコにされながら思っている。


終章:人生を変える真実

振り返ってみると、僕の人生は「人のせいにする人生」から「自分で決める人生」への転換点が明確にあった。あの夜、布団の中で天井を見つめながら感じた恐怖。
手に汗をかき、心臓が早鐘を打った瞬間。

あれが、僕の人生の分岐点だった。

親のせい、環境のせい、会社のせい。
すべてを人のせいにして生きてきた29年間と決別した瞬間だった。
今でも覚えている、あの瞬間の震えを。


僕が手に入れたのは、お金だけではない。
自分の人生を自分で決める力。
失敗を恐れずに挑戦する勇気。
家族を守り、親に恩返しする誇り。
これらすべてが、本当の成功だと思っている。


でも一番大きかったのは、きっと違う。
もうコンプレックスや今までの人生を恐れなくなったこと。
ボコボコにされても、それが自分のせいだと思えるようになったこと。
それが一番の成功だったのかもしれない。


僕は特別な才能があったわけではない。
平凡で、コンプレックスだらけで、何をやっても中途半端。
そんな僕でも変われた。いや、変わったのではない。気づいただけだった。


きっと、あなたにもできる。
ただし、一つだけ条件がある。

自分の人生を自分で決める覚悟を持つこと。
そして、すべてを自分のせいにする覚悟を持つこと。
それさえできれば、どんな人でも人生を変えることができるのである。

まあ実際には変わる必要なんてない。
ただ気づけばいい。そして、ちゃんと逃げずに実行するだけ。




あとがき:あの夜から始まった奇跡

今でも時々、あの夜のことを思い出す。
布団の中で天井を見つめ、手に汗をかきながら震えていた29歳の夜。
電車の音が遠く響いて、隣を流れる川が容赦なく音を立てていた夜。


今でも時々、そのことで震えるような気持ちになることがある。


でも、あの時の恐怖があったからこそ、今の僕がいる。
もしあの夜、僕が行動を起こさなければ、今でも平凡なプログラマーとして、誰かのせいにしながら生きていただろう。

そして僕は、人生で初めて自分で決断した。
その決断が僕の人生のすべてを変えたのである。


あなたの人生にも、きっとその瞬間が来る。
手に汗をかき、心臓が早鐘を打つ、人生の分岐点が。
その時、あなたは何を選ぶだろうか?


僕は、あなたが正しい選択をすることを心から願っている。
とは思うが、正しい選択なんてこの世界にはないんだと思う。

あなたが選んだ選択を、正しい答えにしていくだけの話。

その先に、きっと違う世界は待っている。